総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- フォロー 新型コロナ 年齢別に考える「最適な予防法」 谷口恭・谷口医院院長 2021年12月6日 保存保存 文字 印刷 外国人の入国が禁止され,閑散とする国際線の到着ロビー周辺のベンチ=成田空港で2021年11月30日午前9時28分,小川昌宏撮影 新型コロナウイルスが流行し始めてから,強く印象に残り今も忘れられない事例がいくつもあります,今回は一つの事例を取り上げ,我々が今後どのような行動をとるべきかについて考えていきたいと思います(ただし,いつものように,紹介する事例はプライバシー確保の点から詳細にはアレンジを加えています), 40代前半のその男性が太融寺町谷口医院(以下,谷口医院)を受診したのは,今年(2021年)の9月,「新型コロナの後遺症が治らない」が訴えでした,ここまではよくある話です,驚かされたのは「家族内感染」です, 7月上旬に軽い感冒症状を自覚した男性は,まさか自分が新型コロナウイルスに感染したなどとは,みじんも思っていなかったと言います,デルタ株が流行し始めていた頃で「今までの新型コロナと違って重症化する,40代でも死亡する,医療が逼迫(ひっぱく)し重症化しても入院できない可能性がある」といった報道が盛んでした,そんな折,熱もなく軽度の咽頭(いんとう)痛と鼻水程度しかなかった男性は,「まさかデルタ株がこんなに軽症で済むはずがない」と高をくくっていたそうです,自分は軽症だったが父と祖母は他界 ところがその後,同居する祖母に,次いで父親に,そして母親にも高熱と呼吸困難が表れました,3人とも新型コロナウイルス感染が確定し,入院先は確保できたものの,治療のかいもむなしく祖母と父親は他界しました,なんとか命をとりとめた母親も倦怠(けんたい)感と味覚障害の後遺症が今もあるそうです, 男性自身も,その後PCR検査を受けると新型コロナ陽性でした,ただ,検査を受けた時点ですでに症状はほとんど消えていました,男性は改めて状況を振り返り「自分が外出先で感染し,家庭内で3人に感染させたのは間違いないようだ,現在は
ブランド激安コピー ときおり襲ってくる動悸(どうき)に苦しんでいる,たぶん後遺症だと思う」と話しました,そのうちに,男性は涙が止まらなくなりました,自分のせいで祖母と父親が死んでしまった,という自責の念が消えていないのでしょう, 初診時に確定できるわけではありませんが,この男性の動悸はおそらく後遺症ではありません,仲むつまじく暮らしていた家族2人が突然亡くなり,いわゆる「家族ロス」からくる精神症状の一種,あるいはパニック障害の一症状として,動悸が起こっていると推測されます,そして,男性自身も,動悸よりも本当は自責感に苦しんでいることが分かっています,谷口医院を受診したのは,やりきれない思いを医療者に分かってもらいたかったからではないかと私は感じました,集中治療室で新型コロナ患者の対応をする看護師=東京都港区の虎の門病院で2021年7月30日午後5時51分,幾島健太郎撮影 なお,この男性は「ワクチン反対派ではない」と主張しますが,副作用を心配していたのは事実のようで「日本製のワクチンが登場するまで待つと決めていました」とポツリと言いました,そして,少し間を置いたあとで,「実は,両親も祖母も早くワクチン接種を受けたいと言っていたんです,けれど,僕が海外のワクチンは危険だから日本製が出るまで待とうって説得していたんです」と話されました, ところで,全国には(あるいは全世界には)このような家庭内感染がどれくらいあるのでしょうか
ブランドコピー激安 谷口医院を受診した人の中では,ここまで同情を禁じ得ないような事例はそう多くありませんが,ワクチン接種に賛成か反対かは別にして,軽症の若年者から親や祖父母に感染して重症化した,というような事例は他にもたくさんあります,ワクチンの効果で「自分は軽症」でも ワクチンが普及し,自身や家族が接種を完了していたとしても,この恐れ,つまり「軽症の自分が大切な人にうつして重症化させてしまう」というリスクはあります,ワクチンは普及していますが,過去のコラム「新型コロナ 『ただの風邪』にするのに残る課題」で示したように,大阪府では60歳代以上でワクチン接種後に感染(ブレークスルー感染)した患者の1.6%が死亡しているのです, ワクチンの“おかげで”感染しても軽症で済むのは事実ですが,ワクチンの“せいで”接種後に感染しても無症状もしくは軽度の症状のみで自分がまさか新型コロナだとは疑わない場合が増えて,自分の大切な人に感染させやすくなったのもまた事実といえるでしょう,そしてその大切な人が高齢者や基礎疾患を持った人の場合,その人にとって「死に至る病」となる可能性があるわけです,関連記事 <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <「私は風邪薬を飲みません」 谷口恭医師講演> <新型コロナ 開発中の内服薬の実力は> <新型コロナ 薬局で買える「医療用」検査> <新型コロナ 後遺症の頭痛は諦めず治療を> 新型コロナは軽症の場合,症状だけ見ると他の風邪と全く区別がつきません,特に,感染力が強く重症化しやすいといわれているデルタ株(いったん落ちついた欧州で,現在再び猛威をふるっているのもデルタ株です)は,もともとの新型コロナ(武漢株)に比べると味覚・嗅覚障害が出にくく,また軽症ですむ人も多いのです(少なくとも谷口医院の患者さんではそういえます),ということは,ほぼすべての風邪で新型コロナの可能性を疑わなければならないことになります, 実際,谷口医院の受診者で,あまりにも軽症なため「ただの風邪だから新型コロナの検査は不要」と私が当初考えた事例がありました,しかしこの患者さんは「会社から必ず検査を受けてこいと言われている」と話しました,そこでPCR検査を実施すると結果は陽性で,デルタ株に感染していました,この患者さんは2回のワクチン接種を完了していました, それ以降,私自身は,患者さんが拒否しない限り,風邪症状が少しでもあれば新型コロナのPCR検査を勧めるようにしています,医療従事者を対象に始まった新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種=福岡市中央区の九州医療センターで2021年12月1日,徳野仁子撮影 全ての風邪を予防すべき? では,他人に新型コロナをうつさないようにするにはどうすればいいのでしょうか,今述べたことから導かれる答えは「誰もがすべての風邪を予防して感染しない」となるでしょう,ですが「地球上のすべての人間が金輪際風邪をひかなくなる」ことはありえません,ただし,対策をとることで「大勢の人が風邪をひかない」なら可能です,実際,昨シーズンは新型コロナ対策のおかげでインフルエンザが激減しました,とはいえ,こんなことを続けていれば人間らしい生活ができなくなり社会が存続できません,それに,子供の活動自粛は人間らしい成長を阻みます, 「全員が同じ対策をとる」代わりに私が提唱したいのは,「その年代にとっての最適な予防」です,子供は(現時点での日本の場合),新型コロナに感染してもほとんどが軽症で済みますから極力自由に遊ばせるべきです,若い世代も,多少のリスクを抱えてでも人との付き合いを大切にすべきだと思います,ワクチンについては,接種を受けるかどうかの最終判断は各自がすべきですが,正確な知識を身につけるように努めることは,誰もがせねばなりません,新型コロナの感染経路を理解し,手洗いや換気を実行します,高齢者などと接するときは不織布のマスクを適切に着用します,すぐれた内服薬が近々登場する予定ですが,期待しすぎずに(現時点でも100%有効とはいえず,いずれ耐性ウイルスが登場するでしょう),あくまでも予防に徹します,そして,たとえそれが軽度であっても風邪症状が出現したときは,自己隔離をして検査を受けるべきです, 繰り返しますが「自分は感染しても軽症,しかし感染させれば相手は重症化するかもしれない」が新型コロナの最大の特徴です,この特徴を踏まえて行動するのであれば,我々は「可能な限り風邪をひかない,ひいたかもしれないときは直ちに自己隔離し,可及的速やかに検査する」ことに徹しなければなりません,しかし一方では「社会活動もできるだけ続ける」ことも重要です,お勧めは「鼻うがい」 さて,最後に私自身が実践している,とっておきの風邪対策を紹介しましょう,といってもこの連載では過去に何度も述べている「谷口式鼻うがい」です,新型コロナウイルスは咽頭よりも鼻腔(びくう)に1万倍生息しているわけですから(参照:「鼻にいるコロナは喉の1万倍 対策は『うがい』」)鼻うがいをしない手はない,と私は以前から言い続けています,ただし,鼻腔から感染すればうがいをする前にウイルスが細胞に侵入して手遅れになる,という意見がありますし,鼻うがいに質の高いエビデンス(医学的証拠)もありません
スーパーコピーブランド時計 けれども私の実感としては,効果は確実にあります,そもそも喉をガラガラと鳴らす通常のうがいが,風邪の予防に有効だというエビデンスはあるわけです(過去のコラム参照),喉で有効なら鼻でも有効と考えるのが自然でしょう,さらに,それだけではありません,私は予防だけでなく「治療」にも有効だと考えています,なぜなら,ウイルスが細胞内に感染して増殖したとしても,感染を広げるにはその細胞から外に出て次の細胞にうつらなければなりません,鼻うがいで細胞内のウイルスを死滅させることはできませんが,次の細胞にうつるまでのウイルスを洗い流してしまうことはできるはずです,もちろん24時間常に鼻うがいを続けることはできませんが,断続的なものであったとしてもある程度の効果はあると思うのです,ハロウィーンを翌日に控え,大勢の人たちが集まった渋谷センター街=東京都渋谷区で2021年10月30日午後7時55分,宮間俊樹撮影 そして,この私の仮説を実証するかもしれない研究がついに登場しました,査読前の論文を集めたウェブサイト「medRxiv」に21年8月16日に掲載された「新型コロナ外来患者における,入院率と死亡率の減少を目指した鼻うがい:全国データとの比較によるランダム化臨床試験(Rapid initiation of nasal saline irrigation to reduce mor bidity and mortality in COVID+ outpatients: a randomized clinical trial compar ed to a national dataset)」です, この論文を書いたのは,米オーガスタ大などの医師たちです,著者たちは昨年9月から12月にかけて,同大の検査で新型コロナ感染が確認された55歳以上の患者79人に対し,重曹かポピドンヨードを使った鼻うがいを1日2回ずつ2週間続けるように指示しました,その結果,この79人のうち入院したのは1人だけで,死亡者は0人,「入院または死亡」は,米国の一般の50歳以上の感染者に比べて,約8分の1でした
ブランドコピー通販 この論文では研究の対象者が79人とわずかですし,そのうち37人は洗浄液にポピドンヨード(イソジンと同じもの)を使いましたから,信頼性は高くないかもしれません(イソジンが風邪予防に無効なことは過去に何度も紹介しています,例えば「新型コロナ 『うがい薬推奨』は問題」), ですが,費用はほとんどかからず安全性も高いこの「鼻うがい」,日ごろからやらない理由はありません,ちなみに,私はこの谷口式鼻うがい法を実践し始めたのは12年の12月でそれから9年が経過しましたが,この間一度も風邪をひいていません, <医療プレミア・トップページはこちら> 【ご案内】 この記事を執筆している谷口恭医師が,12月9日に大阪市で一日講座を開きます,タイトルは前回(今年7月)の講座と同様に「ウイルスとワクチンについて」です,オンラインでも同時中継します, 12月9日(木)午後7時から8時半まで,大阪市北区梅田3の4の5,毎日新聞ビル2階の「毎日文化センター」で,受講料は通常の講座,オンライン講座とも1650円です,なお,オンライン講座の受講には,ウェブからの事前申し込みが必要です,問い合わせ・通常の講座への申し込みは同センター(06・6346・8700)へ,関連記事 <新型コロナ デルタ株対策にワクチン後もマスクを> <「私は風邪薬を飲みません」 谷口恭医師講演> <新型コロナ 開発中の内服薬の実力は> <新型コロナ 薬局で買える「医療用」検査> <新型コロナ 後遺症の頭痛は諦めず治療を> 投稿にはログインが必要です,谷口恭 フォロー 谷口医院院長 たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ,91年関西学院大学社会学部卒業,4年間の商社勤務を経た後,大阪市立大学医学部入学,研修医を終了後,タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事,同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け,帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属,その後現職
コピーブランド時計 大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師,主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める,日本プライマリ・ケア連合学会指導医,日本医師会認定産業医,労働衛生コンサルタント,主な書籍に,「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社),「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社),「医学部六年間の真実」(エール出版社)など,谷口医院ウェブサイト 月額110円メルマガ<谷口恭の「その質問にホンネで答えます」>を配信中, 連載:総合診療医の視点 -命を救う5分の知識- 前の記事 新型コロナワクチン 11歳以下への接種は必要か 次の記事 新型コロナ 最新状況と身を守る知識 谷口恭医師講演 注目コンテンツ